終活において介護や医療に関する希望を事前に決めておくことは非常に重要です。これにより、家族が将来の選択肢で困るのを防ぎ、自己決定権を尊重した最期を迎えるための準備ができます。
自宅で過ごしたいのか、施設に入所するのか。その場合、どのようなサービス(訪問介護・訪問看護・デイザービスなど)を受けたいか希望することを決めておきます。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームなど様々な種類があります。どのタイプの施設を希望するのか。施設の立地や規模、設備についても考慮しましょう。
◉自立・元気な方向けの施設
■サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・自立または軽度の介護が必要な方向け
・見守りサービスや生活支援サービス付き
・賃貸住宅に近い形式で自由度が高い
■高齢者専用賃貸住宅
・高齢者向けにバリアフリー設計などされた賃貸住宅
・一部、生活支援サービスがある場合も
■シニア向け分譲マンション
・自立した高齢者向けマンション
・購入する形式
・フィットネスやレストランなど共用施設が充実しているところも多い
◉介護が必要な人向けの施設
■介護付き有料老人ホーム
・介護サービスをするスタッフが常駐
・食事・掃除・レクリエーションなどのサービスあり
・要介護認定が必要
■住宅型有料老人ホーム
・介護サービスは外部(訪問介護など)を受ける
・軽度な介護が必要な方向け
■グループホーム(認知症対応型共同生活介護施設)
・認知症の方が対象
・少人数で共同生活
・家庭的な雰囲気が特徴
◉医療的なケアが必要な方向け
■介護老人保健施設(老健)
・病院から在宅への橋渡し施設
・リハビリを目的とする中間的施設
・原則、在宅復帰が前提
■介護医療院
・長期の医療と介護が必要な方向け
・病院と介護施設の中間的な存在
■特別養護老人ホーム(特養)
・重度の介護が必要な方向け
・公的施設のため費用が比較的安い
・入居待機が長い場合もある
介護サービスの利用方法や負担を軽減するための家族の協力について事前に話し合っておくことが大切です。
延命治療を希望するかどうか。またどの程度までの治療を受けるか事前に決めておくことが重要です。例えば、終末期医療の中で、どのような治療が希望か、苦痛を和らげることが最優先か(緩和ケア)など。
自分の死を迎えるにあたって、尊厳を保つ方法をどう考えるか。人工呼吸器の使用、経管栄養など命を延ばす手段をどこまで受け入れるか。事前に希望を伝えておくことが、家族にとっても負担を減らすことになります。
延命治療を行わないことを明確に示す文書を残すことで、医療従事者や家族が患者の意思を尊重しやすくなります。これには、医師に対して自分の希望を伝えることが含まれます。
【WORDS】リビングウィル(Living Will)・・・本人が判断能力を有しているうちに、終末期の医療や
ケアに関する希望を事前に示す「事前指示書」。特に、回復見込みがない状態に陥った際に、延命措置を望むか否か、どのような医療行為を受けたいかなどを明確にすることで、本人の医師を尊重した医療を実現することを目的としています。
⇒リビングウィルに記載される主な内容
・人工呼吸器や心肺蘇生(CPR)の使用の希望
・経管栄養(胃ろうなど)や点滴による栄養補給の可否
・疼痛管理や緩和ケアに関する希望
・臓器移植の意思
・葬儀の方法や宗教的配慮など
★リビングウィルに明確な法的拘束力はありませんが、医療現場では患者の意思を尊重する姿勢が広がっています。厚生労働省の「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」でも、本人の意思を尊重するころが推奨されています。
また、リビングウィルを公正証書として作成することで、本人の意思をより明確に示すことができます。
・家族の負担軽減:医療や介護の希望を伝えておくことで、家族が意思決定で悩んだり苦悩することが少なくなります。
・尊厳を保った生活:自分の望む形で人生を終えるために、早めに決めておくことが重要です。希望を尊重したケアを受けられることが最大のメリットです。