財産を渡したい人がいるから遺言書を作る。
でも・・・もしその「渡したい人」が自分より先になくなってしまったら?
「自宅の土地・建物は息子Aに相続させる」
せっかく書いた遺言ですが、もし息子Aさんが先に亡くなってしまったら、「息子Aに相続させる」という部分は無効になってしまいます。
予備的遺言とは、遺言者が死亡する前に相続人(になるはずだった人)や受遺者が死亡した場合に備えて、次に相続する人を指定する遺言のことです。
万が一の事態に備え、遺言者の意向を明確にするために役立ちます。遺産が遺言をした方の想定外の方向に流れてしまうことを防ぎます。
例:自宅を息子こつぶに相続させる。息子こつぶが自分より先に亡くなった場合は、娘ももかに自宅を相続させる。
第1条 遺言者は、遺言者の長男こつぶ(生年月日2015年3月25日)に遺言者の所有する次の不動産を相続させる。
(不動産の表示 省略)
第2条 長男こつぶが遺言者より以前に死亡していたときには、前項不動産を長女ももか(生年月日2020年9月16日)に相続させる。
・遺言書を書き直す手間や費用を防ぎます。
第一順位の相続人が先に亡くなっても、次の相続人が指定されているため、遺言が無効にならずにすみます。
・遺産が遺言者の想定外な方向へ流れるのを防ぎます。
自分の財産を誰に遺したいか、尊重されます。
・相続トラブルを防ぎます。
遺産を誰に相続させるかの指定が無効になると、その財産につき「遺言がなかったもの」とみなされるため、相続人全員で遺産分割協議をする必要がでてきます。協議が難航したり、思いもよらぬ人に財産が渡す可能性が出てきます。予備的遺言はこうしたトラブルを未然に防ぎます。
遺言執行者をして指定した者が、被相続人より先に死亡した場合に備え、予備的に遺言執行者を指定しておくことも可能です。
「遺言書の内容に抵触する場合の希望を付言事項で書いてはダメですか?」という質問をいただきました。
付言事項は遺言書に記載する内容の中で、直接法的効力を持たない事項を指します。
法的効力を持たないので、遺言の解釈や履行に影響を与えることはありません。
例えば、息子こつぶが先に亡くなっていた場合に、なぜ長女ももかに自宅を相続させたいか、などの気持ちを書くことはできます。
簡単に言えば、予備的遺言は 万が一に備えて財産相続のルールを事前に設定するもの。付言事項は、相続人に対するメッセージや要望を伝えるためのもの、になります。
万が一に備えて、予備的遺言を活用し、あなたの財産を望む形で相続できるようにしましょう。
当事務所では、あらゆる事態を想定したきめ細やかな指定の遺言書を作成するサポートをいたします。
また、すでに遺言書を作成した方も、今一度読み返して、自分の希望通りになっているか確認してみることが大切です。遺言書に「予備的遺言を追加したい」「一部修正をしたい」といったご依頼も承っております。
お気軽にご相談くださいませ。