今回は似ているように思われてる方もいらっしゃるかもしれない、「法定相続分と遺留分」について書かせていただきます。
相続人がそれぞれ、遺産をどれくらい相続できるのか定めた割合のことで、民法900条に明記されています。
遺産分割協議(話し合い)をするときの基準として使われます。
あくまで目安のようなもので強制力はなく、遺言などで違う相続の仕方を定めていた場合は相続人全員が同意すればそちらが優先されます。
対象は被相続人の遺産。プラスの財産のほかに、負債(借金)などのマイナスの財産も対象となります。
相続人が最低限の遺産を取得できるように定められている”最低ライン”のようなもので、民法1042条に明記されています。
遺留分は兄弟姉妹以外の相続人(配偶者・子・直系尊属)に認められています。
遺留分侵害請求権というものがあり、遺留分を侵害する相続がされた場合に「私には遺留分がありますので、その分は財産をいただきます」と主張することができます。
対象は金銭です。例えば、子Aが自宅マンション(5000万円)を相続した場合に、被相続人の配偶者は1250万円(5000万円の四分の一)の金銭を請求することができます。(マンションそのものを引き渡すように請求することはできません)
・割合が違います
法定相続分 | 遺留分 | |
配偶者のみ | 1(全て) | 1/2 |
配偶者と子 | 配偶者1/2 子1/2 | 配偶者1/4 子1/4 |
子のみ | 1 | 1/2 |
配偶者と直系尊属 | 配偶者2/3 直系尊属1/3 | 配偶者1/3 直系尊属1/6 |
直系尊属 | 1 | 1/2 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4 | 配偶者1/2 兄弟姉妹 なし |
・法定相続分は兄弟姉妹にもありますが、遺留分は兄弟姉妹には認められません。
・法定相続分はプラスの遺産もマイナスの遺産も対象になります。遺留分は遺言・贈与された財産のみが対象です。
・法定相続分の場合、遺産分割協議に期限はありません。ただし、相続から10年を経過すると寄与分の請求はできなくなります。遺留分は相続があったことを知った日から1年で時効にかかります。また、相続発生から10年の除斥期間もあります。
法定相続分は遺産分割するときの目安として使われます。強制力はありません。
一方、遺留分は、もらえるはずの金額を侵害された場合に遺産を取り戻すために使われます。法的効力があります。
遺言書を作成するときは、遺留分に注意する必要があります。
遺言書作成の際に、遺留分がよくわからない・・・といった場合は、当事務所にご相談くださいね。